ナフサショック・・再び訪れた想定外
プランが決まり、いよいよ確認申請を進める段階に入りました。
ここまで来れば、あとは着工に向けて進めていくだけ。
そう思っていた矢先、またしても想定外の出来事が起こります。
今度は私たちだけではどうにもできない、世界情勢が原因でした。
それは、アメリカのイラン攻撃に端を発したイランによるホルムズ海峡封鎖の影響でナフサ不足が深刻化し、住宅用の建材が不足する事態が発生したことです。
ナフサは、住宅に使われるさまざまな建材の原料となる石油製品の一つです。
メーカーからは材料不足や納期遅延、価格改定の話が次々と入ってきます。

この時は、さすがに焦りました。
まず困ったのが、高性能賃貸プロジェクトよりも先に、注文住宅の計画が進むのかどうかという問題です。
とにかく当面の材料確保と発注作業に追われ、賃貸の計画は少し停滞することになりました。
注文住宅の手配がひと段落してから、あらためて賃貸の計画に向き合ってみると、先が見えない状況もあり、仕様の見直しを行うことになります。
建材メーカーの相次ぐ値上げ発表もあり、かなりのコストアップが想定されました。
プランそのものの見直しも一瞬頭をよぎりましたが、すでに申請は動いています。
そこでプランはそのままに、価格の上がりにくい材料や仕上げへと変更し、コストダウンできる部分を探ることにしました。
しかし、もともとコストを抑える計画を行っていたため、できることは限られています。
ある程度のコストアップは覚悟のうえで、進めることにしました。

あとになってわかることですが、この時はGX志向型住宅の補助金が利用できるかどうか時期的に微妙な状況でした。
結果的に申込みが思った以上に少なく、申請が間に合いそうなことがせめてもの救いとなります。
土地の仕入れから完成まで、新築の計画には1年程度の時間がかかります。
その間に、こうした思わぬ事態が起こることも十分にあり得るのだと、あらためて痛感しました。
それらを乗り越えてやりきるには、相当な覚悟と使命感がないと難しい・・そう感じた経験です。
今回のプロジェクトの目的は『高性能な賃貸住宅』という選択肢を実際の建物を通して知ってもらうこと。
断熱等級7レベルの高性能住宅を少しでも多くの方に知ってもらうことにあります。
最初から収益性だけを考えたプロジェクトではないこと、そして少しでも高性能な賃貸住宅を広める一助になりたいという思いこそが、大きな原動力です。
だからこそ、とにかく1棟は建てて、その反響を見てみたい。そんな一心で進めることにしました。
次回からは見直しも含めて、最終的に決めた仕上げや仕様について、ご紹介していきたいと思います。