賃貸の定番設備は本当に必要?
バルコニー(ベランダ)は当たり前に計画
賃貸住宅でバルコニーは、あるのが当たり前と思われていますが、その理由は何でしょうか?
3階建て以上の賃貸住宅では、避難経路や消防の規定から必要になることが多いです。
また、洗濯物や布団干し、エアコン室外機置場、掃き出し窓からの採光といった生活面での役割も担っています。
この中で特にエアコンの室外機置場は、敷地の問題や階層によってはどうしても必要になることもあります。

しかし、今回計画している2階建てメゾネット型のテラスハウスでは条件が異なります。
室外機の設置場所は1階に確保できますし、窓の配置を工夫すれば十分な採光も得られます。
そして最近では、花粉や黄砂、PM2.5などの影響から、洗濯物を外に干したくないという方も増えてきました。
一方でバルコニーは、防犯面で空き巣の侵入経路になりやすいこと、鳥のフン被害、掃除の手間がかかることなどのデメリットもあります。
さらに、建築コストやメンテナンスコストも必要になります。
特に2階までの低層の賃貸住宅では、バルコニーを設けないと困るという場面はそれほどありません。
室内干しができれば、バルコニーはいらないということになってくるのです。
そこで気になるのが、浴室暖房乾燥機の存在ですが、これも絶対に必要なものなのでしょうか。
浴室暖房乾燥機がないと洗濯物が乾かない、は本当?
バルコニーをなくすと、多くの方が「では浴室乾燥機が必要では?」と思われるかもしれません。
確かに、最近の賃貸住宅では人気設備の一つです。
しかし、私たちが普段設計している断熱等級7レベルの住宅では、浴室乾燥機を採用することはありません。
理由はシンプルです。
なくても、十分に乾くからです。
実際にお住まいの方からも、「室内干しなのによく乾く」という声をたくさんいただいています。
さらに、空調計画や乾きやすくするための工夫を行うことで、浴室乾燥機よりも早く乾くケースがあることもわかってきました。
そうなると、むしろ無駄な設備とすら言えるかもしれません。

デメリットとして特に大きいのが、ランニングコストとイニシャルコストです。
ガスや電気を使って乾燥機を運転するため、光熱費は意外とかかります。
毎日のように運転していれば、月に数千円は必要になるでしょう。
加えて機械である以上、故障や交換は避けられません。
その際の入居者とのやり取りや費用も、決してバカにはならないのです。
そもそも、お風呂に入った後の浴室は湿気が多く、洗濯物を干しても乾きにくい環境です。
そこに機械の力で強引に乾かそうとしても、効率が悪く、時間もかかってしまいます。
翌朝に干す場合でも、他の部屋に比べて湿度が高いのが一般的。
忙しい朝のことを考えると、夜のうちに洗濯物を乾かしておきたいという方も多いはずです。
こうした理由から、今回の賃貸計画でも浴室暖房乾燥機は不採用としています。
バルコニーと浴室乾燥機、どちらも「あって当たり前」とされてきた設備ですが、性能の高い住宅であれば、なくても困らない・・むしろない方が合理的な場合すらあるのです。
次回は、同じように見直しを行った、エアコンと洗面台の配置、クローゼットの扉についてご紹介します。