誰が住むかわからない家を設計するという難しさ

ハプニングはありましたが、土地が決まり、建物プランを本格的に進めることになりました。
とはいえ、実際には土地を検討している段階から、法規の確認や建物のボリュームチェック、配置計画、具体的なラフプラン作成まで行っていました。
土地決定後はさらにそのプランをブラッシュアップしたり、違うプランの検討も重ねたりしましたが、思った以上に悩むことになります。

設計に悩む

その理由は、注文住宅との大きな違いにありました。
注文住宅では、最初にお客様の暮らしをじっくりお聞きします。
・ご家族の人数や年齢
・趣味や仕事の仕方
・休日の過ごし方
・家事や生活のスタイル

などの話を伺ったうえで、そのご家族に合った住まいを考えていきます。
そういったことが賃貸住宅の計画時には全くわかりませんので、どうしても、想像の範囲で考えるしかないのです。

世間一般で賃貸住宅に求められる要望をもとにすると、ある程度の幅がある層に住みやすい、無難で面白味のないプランになりがちです。
もちろん、それにも理由があります。
入居者を限定しすぎると、将来的な募集が難しくなる可能性があるからです。
しかし今回は、高性能賃貸住宅という特徴を活かしたい。

「無難なだけの賃貸」にはしたくありませんでした。
そこで目指したのは、ある程度、入居者の層を広くとれ、暮らしに合わせて融通のきく基本プランを検討することにしました。

そんなプランの条件
・メゾネット型の2戸のテラスハウス・・土地の大きさから2戸の少しゆとりある大きさの住戸で計画
・駐車場は2台・・駅からの距離や電車の路線を考えると、車中心の生活を想定
・構造や遮音性能を高めながら、無駄のない建物や部屋形状でコストも抑える
・玄関ホールや廊下を最小限にして、居室の広さを確保
・水回りをまとめて、家事動線をできるだけ短く計画する
・階段はできるだけ視線が抜ける計画とし、実際の面積以上の開放感を感じられるようにする
・間仕切りをできる限り減らし、高断熱・高気密住宅の性能を活かして、家全体を効率よく冷暖房できる空調計画を行う

プランの検討

これらの条件を踏まえてプランを行っていきましたが、一番悩んだのは、2階の部屋構成でした。
広い2部屋にして、家具などで自由に使い方を変えられるようにした方が良いか、それとも3部屋にして、子ども部屋や在宅ワークスペース、趣味室、納戸など、多目的に使える個室にした方が良いのか。

結果的に選んだのは、リモートワークや家族が多い場合にも柔軟に対応できる、3部屋のプランでした。
それでも仕切りは後で取り払える構造にして、将来の変化にも柔軟に対応できる計画としました。
もちろん、これでプランが完成したわけではありません。
この後もいろいろと悩みながら、計画を進めていくことになります。

一般的な賃貸住宅では考えない、というより考えられない高性能賃貸ならではの設計をどのように取り入れるか。
性能とコストのバランスをどう考えたのか。
具体的なプランはもう少し後でご紹介したいと思います。

次回は、賃貸住宅の常識とは違う設計についてご紹介します。