賃貸住宅の常識とは違う設計
プランを考えていく上で賃貸住宅のプランを見ていると、改めて感じたことがあります。
それは、私たちが普段設計している高性能住宅では、「当たり前」になりつつあることが、一般的には当たり前ではないということです。
現在の賃貸住宅のプランでは”常識”が数多くあります。
・玄関ホールとリビングの間はドアが必要
・リビング階段や吹き抜けは寒い、暑い
・バルコニーは当たり前に計画
・浴室暖房乾燥機がないと洗濯物が乾かない
・エアコンは各部屋に必須
・洗面台は脱衣室に設けるもの
どれも、ごく当たり前のように思われています。
でも、本当にそうなのでしょうか?
「玄関とリビングの間にはドアが必要」は本当?
たとえば「玄関ホールとリビングの間はドアが必要」という常識。
ある程度の広さがある一般的な住宅では、玄関ホールとリビングの間をドアで仕切るのが当たり前ですが、それはなぜでしょう?

もちろん、玄関からリビングが直接見えにくくするという理由もあります。
しかし、一番大きな理由は別にあります。
それは仕切りがないと玄関から冷気や熱気が入り込み、部屋が寒くなったり暑くなったりしてしまうからです。
しかし、それは本当の高性能な家では当てはまりません。
断熱等級7レベルの高い断熱と気密性能があれば、玄関とリビングを仕切らなくても、室温は安定したままです。
その結果、玄関まわりはぐっと開放的になります。
視線が奥まで抜けることで実際の面積以上に広く感じられますし、買い物帰りやお子さんを抱えているときも、扉の開閉を気にせずスムーズに行き来できます。
「リビング階段は寒い」というイメージも変わる
もう一つ、よく耳にするのが「リビング階段や吹き抜けは寒い」という話です。
確かに性能がそれほど高くない家(ZEH基準レベル程度の家)でリビング階段や吹き抜けを設けると、冬は1階が寒く、夏は2階が暑くなりがち。
家全体を冷暖房するとなると電気代などの光熱費もかさんでしまい、省エネに暮らすのはなかなか難しくなります。
だからこそ、「吹き抜けはやめた方がいい」とよく言われます。

しかし、断熱等級7レベルの高い断熱性と気密性を備えた住宅では話が変わってきます。
リビング階段や吹き抜けを設けて全館冷暖房を行うことで、1階の冬の寒さや、2階の夏の暑さに悩まされることもありません。
むしろ上下の空気循環が起きやすくなり、1階と2階の温度差も小さくなり、冬に1階だけ寒い、夏に2階だけ暑い、といった状況が起こりにくくなるのです。
さらに、空間が縦につながることで開放感が生まれ、家族の気配も自然と感じられる住まいになります。
こうして一つずつ見直してみると、多くの住宅の”常識”は、「性能が十分ではない住宅」を前提に生まれた工夫だったことに気づかされます。
当然ですが、前提条件が変われば、プランの考え方も変わります。
次回は、この他の項目についても、なぜそれが常識とされてきたのか、そして高性能賃貸住宅ではどう変わるのかを、ひとつずつご紹介していきたいと思います。