内装仕上げ・・肌で感じる素材を、賃貸住宅にも
今回は室内の仕上げや素材についてご紹介します。
基本的な選定基準は、普段の注文住宅と同じです。
できるだけ体への影響が少なく、経年変化を楽しめること。そして、長く使えてメンテナンスもしやすいこと。
ただ、これらの条件をすべて満たそうとすると、内装材選びはかなり難しくなりました。
普段の注文住宅では当たり前に使っている素材が、一般的な家づくりではあまり使われていないものばかりだからです。
というのも、一般的な家や賃貸住宅で使用されているビニルクロスやシートを貼った建材はコストが安く、建築費を抑えるには非常に魅力的です。
しかしその反面、メンテナンスの問題や健康への影響など懸念されることも多く、弊社で計画する注文住宅ではお薦めしていません。
とはいえ、注文住宅とまったく同じ素材を使えば、今度は賃貸住宅としてのコストが合わなくなってしまいます。
そこで今回はいろいろと探した中で、現時点でベストと思える仕上げを選びました。
床:無垢フローリング、リノリウム
床材はコストだけを考えれば、合板フロアやシートを貼ったフロア材一択になってしまいます。
しかし床は、家の中で最も体に触れる場所の一つです。
だからこそ、素足で歩いたときに気持ちよく、見た目にも心地よい素材を使いたい。

そんな思いから、リビングや洋室にはカバ材の無垢フローリングを採用しました。
無垢の床は、木の質感や肌触りを楽しめるだけでなく、時間とともに少しずつ表情が変わっていくのも魅力です。

また、脱衣室やトイレにはリノリウムを採用しています。
リノリウムは、亜麻仁油やロジン、木粉などの天然素材から作られた素材で、優れた耐水性と抗菌性を備えています。
壁・天井:オレフィン壁紙、紙クロス+アクセントカラー、タイル
今回、最も悩んだのが壁材・天井材でした。
注文住宅で普段使っている紙クロスや漆喰は魅力的ですが、すべてに採用するとコストが大きく上がってしまいます。
そこで、体への影響やコストを考えた結果、オレフィン壁紙に落ち着きました。
一般的なビニルクロスより少しコストはかかりますが、可塑剤を使わないタイプで、化学物質の匂いもほぼしないためです。

そして、リビングの壁1面だけは、紙クロスの上にアクセントカラーで塗装することにしました。
しかも、その色を入居される方に選んでいただく企画を考えています。
数種類の中からお好きな色を選べるので、入居の際に好みのインテリアへ近づけることができるのではないかと思います。
また、キッチン対面の腰壁の一部にはタイルを貼り、アクセントとする計画です。
建具:木製ドア、木製引き戸
毎日目にする建具も、室内の印象を大きく左右します。
一般的にはビニルシート仕上げの新建材が多く使われますが、今回は木製のドアや引き戸を採用しました。

もちろん、木製建具のほうがコストは上がります。
それでも、傷がついたり表面が剥がれたりしたときのことを考えると、木のほうが補修や再塗装がしやすく、長く使いやすい。
使い込むことで味わいが増していくのも、木ならではです。
「最初は少し高くても、長く使うことを考えれば、かえって合理的なのではないか」
そんな考え方で選びました。
階段・手すり:無垢材
階段や手すりにも、無垢の木を使っています。

手で触れたり、裸足で歩いたりする場所だからこそ、木の温もりを感じてもらいたい。
木に触れることで気持ちが和らぐ効果があることは、科学的にも明らかになっています。
こうした仕上げの中で暮らすことで、日々の暮らしを少しでも心地よく楽しんでいただきたい・・そんな思いから、今回の仕上げを選定しました。
次回は、住宅設備の仕様についてご紹介します。