理想の土地は存在しない。それでも、この土地に決めた理由

前回お話ししたように、今回のプロジェクトでは土地選びと同時に建物の条件も考えた上で計画を進めていました。
高性能賃貸と言うからには耐震性や断熱性・省エネ性が高い事は絶対ですが、他にも特に重視したのが、「音の問題」です。

うるさい音

賃貸住宅の不満として常に上位に挙がるのが、隣戸や上下階から伝わる生活音。

この課題をできるだけ解決したいと考え、さまざまな事例を調べたり、高性能賃貸住宅を実践している工務店の方々に話を伺ったり実際に見学させて頂いたりしました。

そんな中で上下階で世帯が分かれないメゾネット型のテラスハウス(長屋住宅)が、木造では音の問題をクリアしやすいことがわかりました。

2階建てのメゾネット型テラスハウスは、建物の高さをあまり必要としないので、第一種・第二種低層住居専用地域でも建てやすいという利点があります。
駅近ではなく、少し離れた場所でも成立しやすくなり、選べる土地の幅も広がります。
ただ、駅から離れる分、駐車場は必須。
そうなると、ある程度の間口が必要になりますし、道路幅もできれば5m以上は欲しいところ。
このあたりの条件も土地探しの際にしっかりチェックしました。

銀行さんに評価してもらえるかも大事

今回はあくまで“1棟目”の計画。
できれば今後も2棟目、3棟目へとつなげていきたい。
そのためには、今回の土地が金融機関から見ても評価される土地かどうか、という点も無視できません。

土地の資産価値や、計画全体としての採算性などを踏まえて、融資を受けやすい内容にする必要がありました。

何十件も見て、ようやく出会えた土地

こうした条件をひとつずつ整理しながら、数か月にわたって土地を探し続けました。

不動産サイトや地元の不動産会社に聞いて、気になる土地があれば実際に現地を見に行き…。
何度も「良い条件だけど商談中」「価格はいいけど間口が狭い」などで見送ったり、先を越されたりといった経験を何度も繰り返しました。

そんな中で、ようやく、「この土地なら挑戦できるかもしれない」と思える土地に出会いました。

最初の土地

とはいえ、その土地も100点満点というわけではなく“癖”はあります。
・駅から徒歩20分弱かかり、途中に坂もある
・敷地の有効面積が40坪で2戸のテラスハウスを建てるにはギリギリの大きさ
・接道が持ち分のある私道である
・第一種高度斜線の南側道路なので、建物高さが非常に厳しい
・水道管の引き直しが必要
・家の中から良い景色が見えない
など、工夫や手を加えないといけない部分もありました。

でも逆に、それが土地価格の安さにもつながっていて、交渉も可能でした。
「この条件でも高性能賃貸住宅が成立するのか?」というチャレンジ的な要素も含めて、今回はこの土地でやってみることに決めました。

しかし、この判断が後で思わぬ苦労につながることに・・

次回はこの土地でのトラブルやどのように対処したかについてをお届けしたいと思います。