新しい土地・・100点じゃない。でも、ここに決めた理由
仕切り直しの末に出会った新しい土地ですが、結論から言うと、今回も「理想通りの土地」ではありませんでした。
ただ、土地探しを続ける中でわかってきたことがあります。
そもそも100点満点の土地は、ほとんど存在しないということです。
大切なのは、デメリットを把握した上で、それでも『ここに建てたい』と思える理由を見つけられるかどうかだと思います。
この土地の、正直なところ

まずは、この土地の気になる点からお話しします。
・前面道路と敷地の間には、およそ1mの高低差があるため、アプローチのつくり方や建物の配置には工夫が必要で、設計の自由度が少し下がる条件です。
・第一種低層住居専用地域でありながら西側道路に面しており、隣家との距離も比較的近い住宅地です。
・第一種高度地区による斜線制限があるエリアで、建物の高さにも厳しい制約があります。
・駅からは徒歩12〜13分。決して遠いわけではありませんが、「駅近」と呼べる立地でもありません。
・道路からの下水管の引き込みが無いため、新たに引き込む必要がある。
こうして並べると、なかなか手強い条件です。
それでも、この土地を選んだ理由
一方で、この土地には魅力的な側面もありました。
・前面道路の幅は歩道を入れて約8mと広く、車の出入りがしやすい。これは駐車場が必須となるファミリー向けメゾネット型の賃貸住宅において、かなり重要なポイントです。
・道路の反対側歩道に、桜の街路樹が並んでいます。
春になれば、窓の外に桜が広がる景色が生まれる。数字には表れないけれど、暮らしの豊かさに直結する魅力です。
・すぐ近くには緑豊かな公園があり、散策にも気持ちのいいエリア。
・小学校やコンビニ、スーパーも徒歩圏にそろっており、日常の生活のしやすさという点でも安心感があります。
そして、周辺の賃貸市場を調べてみると水準がそれなりに高く、将来的にも賃貸需要が比較的安定しそうな期待が持てました。

デメリットとメリットを並べてトータルで判断したとき、「今すぐ動ける範囲の中では、ここがベスト」という結論に至りました。
制約は、設計でカバー
道路との高低差や、西側道路、高さ制限という条件は、たしかにプランに制約をもたらします。
ただ、これらは本業で培ってきた設計の経験で対処できる範囲のこと。
むしろ、制約があるからこそ工夫が生まれ、その工夫が住まいの個性になることも少なくありません。
だからこそ今回は、土地の弱点を隠すのではなく、設計や性能の力で価値へと変えていきたい。
「この土地だから、この建物になった。」そう思っていただけるような賃貸住宅を目指すことにしました。
次回からは、いよいよプランの検討についてご紹介します。
自由に考えられるように思える賃貸住宅ですが、実際には注文住宅とは違った難しさがあります。
限られた予算の中で、デザインや素材、性能や暮らしやすさのバランスをどう取るか。
次回からは、そのプランニングで試行錯誤した過程についてお話ししたいと思います。