エアコンや洗面台、収納扉、設置の常識を疑う
エアコンは一部屋に一台、本当に必要?
一般的な住宅では、「各部屋にエアコンを付ける」のが当たり前になっています。
たしかにその方が部屋毎の温度管理がしやすく、その部屋だけを冷暖房するのは簡単です。
しかし、これには問題があります。
まず、小さな部屋にエアコンは大きすぎるという点です。
断熱等級7レベルの高性能賃貸では、70㎡程度の住戸なら、6畳用や8畳用のエアコン1台で家全体の冷暖房をまかなうことができます。
それを考えると、6畳の部屋に6畳用エアコンを設置するのは、過剰な設備になってしまいます。
当然、イニシャルコストもメンテナンスコストも高くつきますし、複数台を同時に動かせば、ランニングコスト(電気代)もかさんでいきます。

もうひとつの問題が、外壁に面していない部屋の配管経路と室外機の置き場です。
設置台数が増えるほど、この問題は無視できなくなってきます。
これらを解決するには、個室に冷気や暖気を送る適切な空調計画が欠かせません。
しかも、全館空調システムのような大掛かりな機器に頼るのではなく、イニシャルコストもメンテナンスコストも抑えられる計画が求められます。
そんな空調計画が実現できれば、オーナーにとっても入居者にとっても、嬉しい住まいになるのではないでしょうか。
それを可能にするのが空調設計であり、その前提となるのが、住戸そのものの高い断熱・気密性能なのです。
オーナーにとっては設備費やメンテナンスコストを抑えられ、入居者にとっては光熱費の負担が少なくなる。
双方にメリットのある住まいになると考えています。
洗面台は脱衣室の中でなくてもいい
もう一つ見直したのが、洗面台の配置です。
これは高性能とは直接関係がないかもしれませんが、普段の注文住宅の設計では、洗面化粧台を脱衣室に計画することはあまりありません。

というのも、家族の誰かが入浴している間は歯磨きやドライヤーなどで洗面台を使いにくいからです。
また来客時、手を洗ってもらう際に脱衣室にある洗濯機や着替えなどの生活感を見せずに済むこともあります。
クローゼットの扉は邪魔になる?
注文住宅を計画する際に個室のクローゼット扉を付けるのは強い要望がない限り、なくなりました。
これには理由が2つあります。
まず、折れ戸や引き違い戸を付けた場合、それぞれに使えないスペースができてしまう点です。
折れ戸なら、折りたたんだ際にできる両サイドの部分が使えません。
引き違い戸なら、真ん中の部分が使いにくくなります。
もう一つは、収納内部に引き出しなどを置くと、扉を開けてさらに引き出しを開けるという二段階の動作が必要になる点です。
これは思った以上に心理的なストレスがかかり、「メンドクサイ」と感じてしまう方も少なくありません。
扉を付けないメリットは、収納が一目で見えるため、どこに何があるか把握しやすいこと。
扉の奥行スペースが不要な分、収納や他のスペースとして有効に使えることです。
家具の配置も、クローゼットの前までフルに活用できます。

逆にデメリットもあります。
雑多なものが見えてしまうことへの抵抗感や、ホコリが入りやすいという点です。
これが気になる場合は、天井からカーテンを吊るす方法もあります。
そんな日常の暮らしやすさを考えることも、設計において大事な要素だと考えています。
他にも、一般的な賃貸住宅ではあまり使われない素材などを多く採用していますが、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。
次はいよいよ、具体的な計画プランをご紹介します。